軍隊式のグローバルマネジメントー元軍人で服役経験のある欧米上司からの学び

社会人2年目でオーストラリアに赴任中、上司に価値観が揺さぶられた話を書きます。

というのも、上司は高校中退、元軍人、服役経験があり、スーツケース1つで世界を飛び回るオーストラリア人でした。

プロフィールを聞くとヤバい人ですが(実際に常識外れな人)、20歳に起業して、現在も経営の傍らフリーランスとして年収3千万を稼ぎ、別荘を2つ持つ、凄腕ビジネスマンでした。

私は温室育ちの大学院卒、枕まで海外に持参する日本人。彼とは全くの正反対。そんな彼の価値観に、これまでの私の価値観が揺さぶられると同時に、自分の常識を捨てないとグローバルビジネスではやっていけないと思いました。

YES or NO をはっきりさせる

彼はいつも私が曖昧な返事をするたびに「YES !!!! or NO !!!!????」と問いただします。

軍隊で習った意思決定の方法に、間違っていてもいいから、今持っている情報でベストな答えを常に出せ。という鉄則があるとのことで、白黒をそのつどはっきりさせることを大切にしていました。

日本人の私は、間接的な言い回しや、衝突を避けるような柔らかい表現を使っていました。


仕事外の飲み会を誘うときでも

私「Well, I am going to drink with X. Are you available tonight?」

 (えー、外に飲みに行こうと思ってる、今日の夜空いてます?)と聞くと、

上司 「回りくどい!!!!」

   「What are you doing tonight? Let's go drinking!!」

   (今日の夜何する? 飲みに行こうぜ!)と言えと訂正されました。


例があまり良くないかもしれませんが、

このYES or NOをはっきりさせるスタイルは、先行きが不透明な状況で前に進むのに非常に大切です。どれだけ計画を立てても、予期せぬことが毎日起こるような仕事や、不確実要素が多過ぎる人生での選択は、一先ず、その時点でのベストで決め切る。これによって、プロジェクトや人生を前に進めることができます。

私の上司が所属していた軍隊では、刻一刻と変わる状況の中で瞬時の意思決定が求められる性質から、このYES or NOをはっきりさせるスタイルを叩き込まれたらしいです。



空気を一切読まず、ズバリ本音を言う

常識はずれなことでも、本音をストレートに伝えること。私を含め日本人は、とても苦手な事だと思うけど、海外でのビジネス、パートナリングでは非常に大切です。


赴任初日のできごとでした。


上司に挨拶をすると、喫煙所に連れて行かれ、

上司「お前、なんのためにこの仕事をやってる?」

私 「プロジェクトを完成させて、、、ひいては、日本や世界のため、、、」

上司「F * ck!!!!(くそ野郎) 金だろ!!金!!!!」


お金のために働いていると(私の考えとは違うけれど)、力説していました。これは少し行き過ぎた自己主張かもしれませんが、仕事でも顧客やに対しても、間違っていることは間違っていると強く主張していました。これにより、顧客も軽々しく会議を中断させたり、顧客の都合だけが良いように指示する、といった事が本当に少なくなります。


このスタイルの良いところは、短期的には敵をつくりやすいけど、長期的には周囲からの信頼を得られること、顧客ー我々の上下関係がありながらも、マウントを取ることが出来ることだと思います。


ただでさえ、相手が何を考えているか分かりにくい国際コミュニケーションでは、相手から信頼を得るために取り繕ったり、上辺だけよく見せる事は全くの逆効果で、自分にとって都合が良い事も悪い事も本音でぶつける事で、相手からも本音が引き出せたり、長期的に信頼関係ができてくる、ということを学びました。


強みをとことん活かす、弱みは捨てる

上司は、全く計算ができませんでした。エクセルも使えません。高校も卒業していないので、掛け算もできるか怪しいレベルでした。


ただし、交渉ごと、マネジメントは超一流で、トップマネジメントからの信頼も絶大でした。


そんな彼が口すっぱく言っていたのは、「自分ができなくても、マネジメントはできる。」ということ。


口癖は「Where is my engineers!!!????(俺のエンジニアどもはどこだ!!!)」でした。自分の手足となるエンジニア達はどこだという如何にも軍隊的な考え方で、私は好きではないですが、とにかく、人に行動してもらうということには超一流です。


この考えの背景にあるのは、

プロジェクトを進める上で、本質的に重要なことを捉え、その本質的な課題を解決するための戦略を描き、繰り返し伝えることが重要で、実際に自ら実践して問題を解決する能力とは別物だということです。


一旦、戦略を描き、全力で伝えることができれば、それを行動に移すことができる専門家はたくさんいて、私の上司はそのマネジメント業務に100%注力していました。

よく日本ではプレイングマネジャーと言われる、自分でマネジメントもするし、実行とする人が多く、欧米のようにマネジメント特化型人材がいないと言われますが、この辺のマネジメントの良し悪しでプロジェクトの成否が180度変わることを体感しました。


また、日本の総合職という世界的に見て奇妙な制度があるように、日本はジェネラリストを育て、色々経験したのちマネジメントになるというルートが一般的ですが、各専門分野のプロになること、マネジメントになることは全くの別物と考える、この割り切りは簡単にはマネできないけど大切なものと思います。

強みに特化して、弱いところは人にやってももらう、アウトソーシングすることをもっと上手く使っていけば、好きなこと・得意なことだけを活かして仕事ができる、人生を生きられるようになるのではないかと思いました。


最後に

同じ人間として、こんな人もいるんだあ、もっと好きに生きていいのかも。と思えたことがきっかけで、フィンランド留学を決心したのもこの時期です。その意味で、諸々パワハラまがいの上司でしたが、大変感謝しています。


おまけー強迫性障害(OCD)

そんな最強の上司ですが、強迫性障害という病気で、仕事のことを考えると、細かいところが気になって、夜も一睡もできなくなるほどの重症でした。血を頭にのぼらせて、全力で鼓舞し続けることは、明らかに身体に負担のようです。その負担が私に回ってきたことは言うまでもありません。





WILL-BEING:未来の学校

フィンランドのデザインスクールでの学びをベースとした新しい学校を作りたい。未来の大人達が豊かな人生を送るために。①創造性 / イノベーション ②感性 / 人間中心 ③ウェルビーイング Will-being=Will(遺書)× Well-being(より良く生きること)。

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