何がしたいか分からない時は「ちょっとやってみよう」を行動する

小さい頃から、目標をもって努力を重ねることを私たちは教わります。学校のテストで90点を目標にして勉強する、部活で県大会優勝を目指して、毎日辛い練習に打ち込む、上司から言われた仕事を必死に頑張る。


自分の意識をコントロールして、目標を達成するために「やらなければならい」活動に集中する。とても大切な能力と言われています。でも、自分をコントロールすればするほど、自分が本当に望んでいる「やりたいこと」が分からなくなることがあります。


一歩間違うと、頑張っても頑張っても成果が出ない。あるいは、頑張って成果が出ても何となく充実しないことが起こりえます。


私は親の期待に応えるのが得意な子だったと思います。小さい頃から学級委員や生徒会長になって人前で話をしたり、下手くそな野球も毎日素振りや壁当てで鍛えてレギュラーを勝ち取る。金銭的に恵まれない状況から一発逆転を狙って東大に入る。

でも、気がついたら自分が何をしたいのか分かりませんでした。何を学びたいか分からないから、潰しのきく学部を選ぶ、とりあえず、就職に強い研究室に入る、若い頃から経験が積める会社に入る。これはこれで間違った選択ではなかったと思いますが、本当に何がしたいのか分かりませんでした。

変化のきっかけは、海外駐在中、毎月100時間を超える残業、心を許せる友人もいない中で、毎日、好きでもない仕事をずっとやっていた頃でした。嬉しいこと、悲しいこと、何があっても感情が動かなくなりました。敢えて、嫌という気持ちに蓋をするため、感情自体動かなくしたのだと思います。鬱の一歩手前という状況だったと思います。

上司になったオーストラリア人が突拍子も無い人で、元軍人で起業家、世界中に別荘を持ちながら、スーツケース1つでホテルを転々とする、この人と出会ってから、どんな生き方をしてもいいんだ、と思考の枠が取れた気がします。


結局、初めて「ちょっとやってみたい」という気持ちから選択し行動したのは、大学院まで出て、やっとエンジニアとして成果が出せるようになってからでした。そこから、フィンランドの大学で、デザインを学び始めました。蛇のように紆余曲折したキャリアを歩みながら、今は心からやりたいと思える仕事をしています。


もちろん、好きではないことも努力してきたことは今もこれからも活きていると思います。でも、人生の時間の10%、20%でいいから、「ちょっとやってみたい」を行動に移して、自分の好き・嫌いを知る事に時間を使えば良かったと思っています。


子どもの頃、自分のしたいことが分からない人はいないのではないでしょうか。極端な話、赤ちゃんの頃は、自分で意識をコントロールすることが全くできません。身体の欲求に100%正直です。だから、親が自分の意識をコントロールして(Psychic Energyと心理学ではいうそうです)、人間の生活を送れるよう育児をします。


大人になるにつれて、自分で意識をコントロールして、生活を送るために、「すべきこと」に意識を向ける(集中する)ことを覚えていきます。大人になると良くも悪くも、好きでもないことに意識を向けられる、いわば自分を騙すことがを覚えていきます。だから、好きじゃない勉強にも無理やり打ち込めるし、親や上司の言うことに渋々従って頑張ることもできます。


勘が良い人は、自分が好きなこと、好きじゃないことくらい分かっていると思います。私のように不器用で、なまじっか努力をしていくことが得意な人に限って、自分がしたいことが分からなくなるような気がします。数年であれば、受験勉強のように目標を立てて努力し続けることができるかもしれない。でも、人生の10年、20年と心が動かないことに没頭し続けることはできないのではないでしょうか。だから、「ちょっとやってみたい」を小さい頃から大切にして、そのモチベーションを育てて、その子なりの好き・嫌い、得意・不得意を育んでいって欲しいし、自分の子供にはそうやって育ててあげられれば嬉しく思います。



写真:Image by klimkin from Pixabay 

WILL-BEING:未来の学校

フィンランドのデザインスクールでの学びをベースとした新しい学校を作りたい。未来の大人達が豊かな人生を送るために。①創造性 / イノベーション ②感性 / 人間中心 ③ウェルビーイング Will-being=Will(遺書)× Well-being(より良く生きること)。

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